bakethuのブログ

野鳥を探しながらテクテク歩いてます

散髪やさんの呟き(育む)

7月18日に剪り落とし

毎日眺めていたパキラが

めでたく発芽しました。


そっとなぜたり

甘い囁きをしたり

霧吹きで水分をあげたり

ヤキモキした半月でした。


生命力なんぞ、人の範疇では

秤しれない。





みっちゃん。


知らない町で

お店を始めたのが16年前。


誰も、寄ってくれない日々の中で

着物が似合う奥様がみえてくださった。

奥様は、黙って、カットが終わると

とても優しい笑みで

ありがとう。

と、言ってくださった。


毎月決まって、寄ってくださっていたが


暇なままに、二年過ぎた頃に


三年頑張りなさい。


と、不意に、伝えてくださった。


私の手持ち資金では、もう、残る一年で、廃業しないといけないなぁ。と、考えていた頃だ。


自分には、才覚がなかった。

せめても、自分の造りたかった店を形に出来

夢だけ、みれたから、楽しかったと、


せめて、残る一年みえてくださるお客様には

心を込めて施術させていただこう。と、腹をくくった時に、そう、発せられた。


着物の似合う奥様の


「三年」が頭から離れることなく、従事し、

開業より二年半が過ぎた頃から、

ポツポツと、お客様の数が

増えてきて、

三年を迎える頃には、

きちんと、採算のとれる店にしあがってきた。


奥様が来てくださった時に


今月で三年を迎えました。

ありがとうございました。


と、伝えたら、


次は五年頑張りなさい。


と、誉めて頂けるのかと、

思いきや、

宿題をいただき、

初めて、店の運営、について

開眼したものであった。


今年で16年になり、


奥様がみっちゃん。と呼ばれる方であることなぞを知り


いつからかは

体調崩されてしまい、

車椅子で店へ来てくださる様になり、

先程

ご主人が車椅子を押して帰られるのを

見送りながら、


互いに暮らされた、60年ならではの

お二人のお姿やな。ぁ。


と、感慨にふけっていたら


おや?


パキラの発芽に気がついたのだ。




まだまだ、

育ててゆかないいけないものが、ある。


との、暑い日でございます。